OZEKI 発酵ラボ

安心・安全 2020年3月31日

知っておきたい日本酒の賞味目安期間と保存方法

しばらく置いていたいただきものの日本酒。とっておきの時に飲もうと久しぶりに取り出してみると、色が黄色く変色していた…賞味期限を探そうと瓶をくまなく見ても、表記が見当たらない…果たして、この日本酒飲めるのだろうか……と不安になった経験、ありませんか?
今回は、日本酒の賞味期限やおいしく飲むための保存方法、飲む以外の活用法など、気になる情報をお届けします。

日本酒には賞味期限が、ない!?

日本酒には賞味期限があるのかないのか…実際に日本酒容器のラベルを見ると、そこに表記はありません。それもそのはず。食品衛生法では、食品に関しては消費期限や賞味期限を表示する義務があるのですが、日本酒はその表示を省略することができるのです。日本酒は長期間の保存に耐えられる、と考えられているからです。
ただし、清酒の製法品質表示基準では、日本酒に製造した時期を年月で表示することが義務づけられています。ここでの「製造年月」とは、仕込みの時期ではなく、酒瓶などの容器に日本酒を充てんして密封された年月のこと。例えば大関の商品では、製造年月の欄に「19.06.AB」と表記されています。西暦で「2019年6月」に製造した「AB」というロット、ということを表しているのです。

おいしく飲むための目安期間は…

賞味期限がないから、いつまでもおいしく飲めるという訳ではありません。やはり月日が経つと、色だけではなく香りや味わいも変わってしまいます。その日本酒が持つ本来の風味を堪能したい場合は、おいしく飲むための目安期間を知っておくとよいでしょう。

未開封の場合の目安期間

未開封の場合、表示されている製造年月より約1年がおいしく味わえる目安期間です。日本酒を生のまま貯蔵して出荷時に加熱する「生貯蔵酒」の場合は、冷蔵庫保存で約1年。吟醸酒や純米酒などの特定名称酒も、冷暗所などの保存で約1年が目安です。

開封後の目安期間

開封後の場合はどうでしょうか。日本酒を一度開封した場合は、容器口・キャップを清潔にした上で、冷蔵庫や冷暗所で保存することをおすすめします。空気に触れることで、日本酒の色や味、香りが変化して劣化が進むため、開封後は1~2週間を目安に飲みましょう。
日本酒はおいしく飲める目安期間が過ぎても、すぐに飲めなくなる訳ではありません。味わいの変化を楽しめるようであれば飲んでください。もしおいしさを感じないようであれば、飲む以外の用途で活用することもできます。
また、未開封でも開封後でも、温度が高かったり、光が当たりやすかったりする場所での保存は、風味が変わってしまう可能性が高いです。飲む際にはご注意ください。次に紹介する「おいしく飲むための保存方法」もご参考くださいね。

おいしく飲むための保存方法

日本酒をしばらく寝かせた後でおいしく飲むためのコツ。それは、保存方法にあります。ポイントは、光と温度。例えば購入後に保存しておいた日本酒が黄色く変色していたなら、それは光のせいかもしれません。日本酒は、日光に当たることによって変化が早まり、着色が進みます。同じく温度が高いほど熟成が進むことで、黄色から褐色へとさらに変色し、風味にも影響を与えるのです。
日本酒をおいしく飲むためには、直射日光を避け、光の当たらない涼しい冷暗所での保存がベスト。生酒の場合は冷蔵庫で保存しましょう。

こんな日本酒はご用心

目安期間が過ぎてしまったとしても、基本的に飲むことに問題はありません。ただし、中には飲まない方がよい日本酒があります。「お酒が白く濁っている」「酸っぱい香りがする」場合です。そのような日本酒を口にするのは望ましくないと考えられるため、処分することをおすすめします。

目安期間を過ぎた日本酒活用法

日が経ってしまったことで風味が変わり、飲むに飲めなくなった日本酒。そのまま処分するのはもったいないですよね。飲む以外の活用法を知って、日本酒を使い切りましょう。

その1 料理酒として使う

まだ飲めそうだけど、お口に合わなくなってしまった日本酒は、料理に使ってみてはいかがでしょうか。清酒には、肉や魚の臭みを抑え、素材をやわらかくする効果があります。そのため、鶏肉や魚の風味づけや臭み取り、中華料理の下ごしらえなどに最適です。
また、常温で長く保存したお酒は、紹興酒に似た「老香(ひねか)」という香りを伴います。しょうゆやみりんなど、味わいが強いほかの調味料と合わせて使うことがおすすめです。肉や魚の煮物、鍋料理などに入れてみましょう。

その2 入浴剤として使う

おいしく味わえないと判断された場合は、料理以外に入浴剤として日本酒を活用することもできます。余ってしまった日本酒を入浴剤代わりに使うことで、美肌や冷え性対策にもなるんですよ。詳しい方法を知りたい方は、「女優さんにも話題の健康法!?日本酒風呂でキレイ&健康」をご覧ください。

まとめ

日本酒に賞味期限はありませんが、製造年月は表示されています。おいしく飲める目安は、製造年月から約1年。保存する場合は直射日光が当たらない冷暗所に置き、目安期間が過ぎて味わいが変化したものは料理や入浴剤として活用してみましょう。ご自宅に保存したままになっている日本酒がある方は、早速ラベルを確認しておいしい内に味わうことをおすすめします。